ぼたん鍋やしし鍋で美味しく食べられるイノシシ肉は、近年のジビエの流行も追い風となり注目されています。
旬な季節が限られており、スーパーなどではあまり見かけることもない珍しさから、普段からイノシシを自宅で調理して食べている人は少ないかもしれません。
地方によっては家庭料理や郷土料理としても定着しているメニューがあるなど、地域密着の食材としても人気があります。
イノシシ肉は隠れた栄養の宝庫で、健康食としても注目されています。
健康派ならぜひチェックしておきたいところです。
ただ、自宅で用意するには下準備が少々大変…、というイメージがありませんか。
全国どこでもいつでも手に入るメジャーなものではないため、突然人からもらった時には、下処理の方法がわからなくてジタバタ、なんて可能性もあります。
そこで今回は、イノシシ肉の上手な下処理方法や、上手に調理するためのポイントを詳しくご紹介します。
特有の臭みを上手に取って、美味しいシシ肉が調理できるのでぜひ参考にしてください。
イノシシ肉の正しい下処理方法
イノシシ肉は、地域によっては給食に出るほど馴染みのある食材です。
しかし、それ以外の地域では流通しにくく、食べたこともない、という人が大半だったりします。
多くは地方の名産や名物料理として今でも楽しまれています。
現在では、通販などでイノシシ肉が手軽にいつでも購入できて便利ですが、野生のイノシシを人から頂いた場合などは下処理をきちんとしなければ美味しく食べられません。
早速、イノシシ肉の下処理についてまとめていきます。
イノシシ下処理のポイント1:塩水に漬け込む
イノシシ肉は15%ほどの塩水に漬け込み、血抜きをします。
(15%の塩水は、100mlの水に15gの塩を溶かしたもの)
冷凍の状態であっても、すぐに水が赤くなってくるのでそのたびに水を替え、水が赤くならなくなるまで繰り返しましょう。
5〜6回が最低ラインです。根気よく続けてみてください。
肉の赤みが白っぽくなってきたころが、血抜きが終わったサインです。
色の変化が見られるまでは、忍耐強くお水を替えながら血抜きをしましょう。
イノシシの肉の臭みの原因となる血が残っていると、臭みが残ります。
揉んでいる間に血が出て来るので、キレイになるまで塩水を取り替えながら洗えばOK。
キッチンペーパーで水気を拭き取って味付けして調理すれば、他の動物の肉と同じように調理できます。
イノシシ下処理のポイント2:筋を取る
肉の血抜きが終わり、全体が白っぽくなってきたら、次は筋を取ります。
肉の筋は、赤身の間にある白い脂肪のような部分です。鶏肉などでも同じですね。
筋を取らないままだと、猪鍋にしてもゼラチン質が多くなり、おいしいスープが固まりやすくなってしまいます。
せっかくの鍋の〆、最後の美味しいところがいただけないということになり兼ねません。
肉からはがしていくようにすると、取り除きやすいでしょう。
イノシシ肉の臭みを取る方法いろいろ
イノシシ肉には特有の臭みが出やすい、という特徴があります。これはイノシシだけでなくジビエ全体に言えることです。
シシ肉は食べてみたいけれど、臭いが気になる、という人もいるでしょう。
シシ肉の臭みはイノシシ肉に残っている血の臭いです。
ですので、血抜きがしっかりとできれば臭みはほとんど取れていることになります。
血抜きさえできれば心配は要りません。根気よく水を替えて血抜きをしっかりと行いましょう。
イノシシ肉の上手な調理のポイントは、ズバリ「下ごしらえ」です。
臭みを抑えるために下処理をきちんと行うことで、他の種類の肉同様に調理できます。
下処理の方法にはいくつかありますが、シシ肉初心者でも行いやすい方法を5つ紹介します。
1.スパイスや調味料につける
臭みを取る効果のあるスパイスや調味料を使うのも有効です。
おすすめは、カレー粉やにんにく、しょうが、味噌、赤ワインなど。
酒やみりん、醤油、トマト缶などを使ってミックスさせれば、同時に下味も付けられるので便利です。
2.水でゆでる
ぼたん鍋などにするのも良いですが、水での下茹ででも臭み取りができます。
にこぼすくらいお湯でしっかりとゆでることで、臭みはとれて調理しやすくなるでしょう。
3.塩麹につけておく
イノシシ肉を塩麹につけておくと、臭みが取れるだけではなく肉自体が柔らかくなり、より味わいが出ます。
塩麹ブームもあって、お肉や魚を塩麹につけてから加熱調理する方法は聞いたことがあるかもしれません。
塩麹はできるかぎり自家製がおすすめで、塩と麹だけで簡単にできるのでぜひチャレンジしてみてくださいね。
忙しくて時間がない、という方や急に塩麹が必要になったという場合は、市販のものでも問題ありません。
4.ヨーグルトにつける
ヨーグルトを使った合わせ調味料につけこむと、保存もできるのでおすすめです。
ヨーグルト、味噌、をそれぞれ大さじ2、酒を大さじ1混ぜて肉とあえればOK。発酵食品の力で肉が柔らかく食べやすくなりますよ。
イノシシ肉を冷蔵庫保存する方法
シシ鍋に使ったイノシシ肉が余ってしまった場合は、他の肉と同じように冷蔵あるいは冷凍で保存することができます。
冷蔵の際には、お酒を加えた水の入った容器に入れてしまっておくと良いでしょう。日本酒やワイン、ビールなど割と何でも使えますが、調理方法を考えて選ぶと便利でしょう。
毎日お水を替えれば2、3日はもちますが、美味しく食べるためにもできるだけ早めに調理してくださいね。
冷凍の場合は、ラップとジップロックなどの保存袋を使います。
- キッチンペーパーなどで水気をしっかりと切る
- ラップで密閉するように包む
- ジップロックなど保存袋に入れて冷凍庫へ
水気をしっかりと切っておくと解凍後の状態がぐんと高くなりますので、水切りを徹底してみてください。
冷蔵、冷凍に関わらず、できるだけ早く調理する方が美味しさを楽しめますよ。
イノシシ肉の栄養効果は?
脂身が多いといったイメージがあるイノシシですが、実際は豚よりも脂身が少ないというのが実情。
実はイノシシ肉は、コラーゲンやビタミンBとが豊富に含まれていて、美容健康にかかせない栄養が豊富です。
コラーゲン女性には嬉しい食材ですね。
昨今、健康食材として注目されるのも無理はありません。
レストランや専門料理屋でも食べられますが、自宅だと手頃な価格で手に入ります。
味付けも自由にできる盛り合わせなどは、手軽に試せて便利です。
シシ肉におすすめの調理3選
イノシシ肉のおすすめの調理方法を紹介します。
1.本格鍋で猪鍋を満喫
イノシシはやっぱりシシ鍋!という人は、定番の味噌味から試してみると良いでしょう。
昆布や和風出汁などと味噌を加え、固めの野菜を入れて煮込み、肉に火が通ったら味を整えてさらに煮込みます。
基本的に味付けは自由なので、お好みで調節してみてくださいね。
どうせ作るなら、ぜひ昔ながらの鍋で作ってみてはいかがでしょう。
南部鉄器の鍋でシシ鍋を仕込めば、インパクトが大きくてテンションも上がりますよ。
2.七輪で炭火焼き
適度な大きさにスライスしたしし肉を、ただ炭火で焼くだけです。新鮮なお肉はこれが一番!
塩こしょうや、にんにく醤油など自由に味付けして楽しみましょう。
3.ダッチオーブンで煮込み
煮込みにする場合は、猪肉を3〜5cmほどにカットします。
20分ほど煮込み、火を止めて10分ほど予熱で保温しておくと食べやすく仕上がります。
アウトドアにも使えるメニューです。
4.圧力鍋でチャーシュー
猪肉もチャーシュー(焼猪)ができます。バラ肉350gで2、3人前分作れます。
肉全体をフォークで刺して味の染み込みと火の通りのための下準備をしておきましょう。
タコ糸で巻いたら、一度強火で焦げ目をつけて圧力鍋に投入。
生姜やネギ、砂糖、醤油、酒などで味をつけ、水を加えて火にかけて味が染み込んだらできあがりです。
じっくり長時間煮込むスロークッカー機能など、ボタンひとつで調理できるオートメニューが装備された圧力鍋がおすすめ。
蓋がしっかり密閉できるので、シシ肉の気になる匂いもシャットアウトできます。
イノシシ肉を食べる際に気をつけたいポイント
イノシシ肉の特徴として「加熱すると厚みが増す」点があります。
しし鍋に入れる際には気持ち薄めにスライスするようにすると、加熱して食べるときにも食べやすくなります。
臭みをしっかりと取りたい場合は、香味野菜やスパイスなどで調理すると臭いを減らすことができます。
和風料理なら生姜や長ネギ、洋風料理ならにんにくやトマト、セロリなどが代表的なスパイスです。
強い臭い消しを使いたい場合、赤味噌や醤油、みりん、カレー粉などを使って調理法を工夫すると良いでしょう。
最後に
シシ肉は下処理を上手にできれば、自宅でも美味しく楽しむことができます。
あまり流通しない肉だからこそ、慣れない下処理に難しいイメージを抱きがちですが、必要なステップを踏めばスムーズに行うことができます。
また、お酒や塩など自宅にある調味料を使って上手な下処理ができるので、やり方さえ間違わなければ誰でも簡単に適切な処理ができます。
この記事で紹介した上手に下処理する方法を覚えて、自宅でもシシ肉を楽しんでください。